sub94b 堀江社長が退任 1月25日〜1月29日
§9 堀江社長が退任 後任に平松氏
ライブドアは二十四日、取締役会を開き、証券取引法違反容疑で逮捕された堀江貴文容疑者が社長を退任し、グループ傘下で会計ソフトなどの販売を手掛ける子会社「弥生」の社長でもある平松庚三(こうぞう)副社長(六〇)が社長に就任する人事を決定した、と発表した。堀江容疑者が持っていた代表権は、熊谷史人取締役(二八)に付与される。また、逮捕された取締役三人のうち宮内亮治容疑者の辞任届が受理された。
平松氏はソニー出身で、外資系企業などで社長を務めた後一二〇〇四年十二月に弥生がライブドアに買収されたためライブドアグループ入りした。一方、熊谷氏はこれまで経理財務担当の取締役を務めており、今回の事件では東京地検から任意の取り調べを受けている。
今後の業務の執行は平松氏が中心になって行う。しかし、平松氏は取締役でないため、逮捕者以外で唯一残った常勤取締役の熊谷氏に代表権が付与されるという変則的な人事となった。今後、平松氏が取締役に就くか
どうかは未定という。
この日会見した平松、熊谷両氏らライブドア幹部は、四人の逮捕者を出したことについて「株主、取引先、従業員らに心配かけた。同じことが起こらないように法令順守を徹底する」と謝罪した。
堀江容疑者や、岡本文人容疑者については、会社が辞任届を受理していないため当面は取締役にとどまる見通し。ただ、三人の有罪が確定すれば、熊谷氏は「再び取締役に迎えることはない」と明言した。
ライブドアは取締役六人のうち三人が逮捕されたため、過半数が必要な取締役会の開催と決議ができなくなった。しかし、宮内容疑者が同日、取締役を辞任したため新人事を急きょ決定した。
◆ライブドア子会社 マネー社価値6倍に評価 1月25日朝刊 1面
ライブドアグループの証券取引法違反事件で、ライブドア本体の子会社「ライブドアマーケティング」が二〇〇四年十月、株式等価交換による出版社「マネーライフ社」買収計画を発表した際、一株と一株を交換する比率の下でマーケティング社の新株発行数を増やすため、マネー社株の資産価値を実際の約六倍に算定していたことが分かった。
◆買収時 株売却益増狙う
交換比率は「第三者機関が算出」とされたが、実際には別の子会社「ライブドアファイナンス」が行っていた。東京地検特捜部はライブドア前財務担当取締役宮内亮治容疑者(三八)=同法違反容疑で逮捕=らが多額の株売却益を得る目的で高く算定、前社長堀江貴文容疑者(三三)=同=も了承したとみて追及しているもよう。
調べでは、ライブドアが実質支配する投資ファンド「VLMA2号投資事業組合」は〇四年六月、マネー社の旧株主から四干二百万円で同社の全株を取得した。
マネー社は当時、六千万円以上の累積赤字を抱えていたが、同投資組合は三干万円を増資して赤字を解消。同年十月、株式交換によるマネー社の買収計画が発表された。
交換比率は通幣、企拳の業績や資産を基に算出されるが、マネー社株千六百株の評価ま投資組合の買収額と増資額を合わせた七千二百万円とみられた。
しかし、マーケティング社が株式交換のために新たに発行した干六百株(株式分割後は十六万株)の市場の評価額は、当時の時価で約四億二千万円に上っていたという。
同投資組合は株式交換で得たマーケティング社株を約八億円で売却、このうち約六億九千万円がライブドァ本体に還流したとされる。等価交換の枠組みの中で市場価値の高いマーケティング社の新株発行数を増やすため、マネー社の評価額水増しを図っだとみられる。
特捜部では逮捕容疑となったマネー社買収計画発表をめぐる虚偽の中心部分は、資産価値に大きな開きがあるにもかかわらず一対一とした交換比率にあったとみている
◆
◆馬券販売提携を白紙化 ライブドァと名古屋・笠松
ライブドア前社長堀江貴文容疑者の二十三日の逮捕を受けて、インターネツトによる馬券発売でライブドアと提携交渉を続けていた名古屋競馬(名古屋士川港区)と笠松競馬(岐阜県笠松町)が、交渉の白紙化を検討していることが分かった。
交渉の窓口となっている地方競馬全国協会(東京)によると、十八日にライブドアの担当者が協会を訪れ、十六日の東京地検特捜部の強制捜査について「迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪。交渉中断で双方が合意した。
さらにトップの堀江容疑者が逮捕されたことで「競馬の大前提である『公正』を害する」と協会の担当者。名古屋競馬を主催する愛知県競馬組合は「完全な交渉撤退も含め、関係者問で話し合わないといけない」、笠松競馬を主催する岐阜県地方競馬組合は「容疑が事実なら交渉を中止せざるを得ない」としている。
■ ライブ度オ論戦激化 1月25日朝刊 2面
◆「劇場型政治」も標的 民主、「偽装と粉飾」追及
「ライブドア.ショック」は永田町でも猛威を振るっている。ただ、衝撃を受けてからの対応は、与野党でくっきり違う。民主党は「小泉改革」が事件の遠因になったとの前提に立ち、政策面、道義面から自民党を徹底追及。対する自民党は事件の再発防止策を講じることで、批判をかわそうと必死だ。両者のせめぎ合いは激しさを増しそうで、ライブドア・ショックは、「ライブドア政局」の様相を次第に見せ始めた。(吉田昌平、篠ケ瀬祐司)
「米百俵でなく株式百分割の文化をつくった」民主党の野田佳彦国対委員長は二十四日の記者会見で、小泉構造改革を痛烈に皮肉った。
民主党はライブドア前社長の堀江貫文容疑者の逮捕を機に、小泉改革の「偽装と粉飾」(野田氏)への追及を強めている。
前原誠司代表も記者会見で、小泉改革の金融・経済政策を主導する竹中平蔵総務相の責任について「竹中氏が金融相だった時から証券行政の自由化を進め、この中でひずみが生じたのではないか」と指摘。竹中氏の進めた金融行政を総点検するよう党内に指示した。
民主党はこの日開いた「ライブドア問題調査追及チーム」の初会合で、堀江容疑者と小泉首相、竹中氏、武部勤幹事長ら自民党幹部との関係を追及する方針を確認。竹中氏に関しては「あれだけ(衆院選で堀江容疑者の)応援に入り、改革の旗手と持ち上げ、今さら知らないでは済まない」(桜井充座長)と、道義的責任も追及する姿勢だ。
野田氏も代議士会で「(竹中氏が堀江容疑者の応援に入った)この瞬間に劇場型ビジネスと劇場型政治が合体した。劇場型ビジネスにメスが入ったら、当然、劇場型政治にもメスを人れる」と強調した。
武部氏は二十四日の記者会見で「私個人として、反省すべきは反省しなければならない」と初めて陳謝した」一方で、応援は個人的だったと繰り返し、そうした責任論よりも事件の再発防止策の検討を表明した。対策検討は、衆院選で堀江容疑者を応援した自身や、党への批判をかわす狙いもある。
自民党は財政金融部会と企業統治委員会が合同で検討に近く着手する。証券取引法を改めた「金融商品取引法」(仮称)の制定が浮上している。
この案は、金融庁が昨年から準備してきたものだが、自民党は「渡りに船」とばかりにこの動きにのって、株式や債券など幅広い金融商品・サービスの販売、勧誘の統一ルールを今国会で定めたい考え。今回の事件で問題点が浮かび上がった投資事業組合の見直しも、議論の対象になりそうだ。
しかし武部氏らへの批判は「党として応援したイメージがある。国民はこの事件を(関心を持って)見ている」(加藤紘一元幹事長)と、足元からもわき起こっている。再発防止策だけで窮地を乗り切れる保証はない。党幹部からでさえ「これで世論が収まるかは、読めない」と、悲観的な声が聞こえてくる。.
◆「堀江容疑者に出馬要請していない」
民主党の岡田克也前代表は二十四日、民主党も堀江貴文容疑者を衆院選で擁立しようと接近したと発言した自民党の武部勤幹事長に、発言の撤回と謝罪を文書で要求した。
武部氏は二十四日の記者会見で「なぜ(当時民主党代表だった)岡田さんが、堀江さんにアプローチしたことが問われないのか」と述べた。
◆民主・岡田氏が武部氏に 謝罪と撤回要求
これに対し岡田氏は文書で、会談は堀江氏の求めだった上、「基本的考え方が異なったため、出馬要請は一切していない」と反論している。前原誠司代表も二十四日の記者会見で「堀江容疑者は『国民は基本的にバカだ』と言ったため、岡田氏は一緒に政治はできないとその時点で判断した」と強調した。
■ 信頼回復道険し 平松新体制スタート 1月25日朝刊 3面
証券取引法違反容疑で逮捕されたライブドアの堀江賞文容疑者が社長職を退任した。 同社の求心カだった堀江容疑者に代わって新社長に就任したのは、平松庚三・執行役員上級副社長(六〇)。年長者でビジネス経験豊富な平松氏だが、取締役は未就任。取締役の半数が逮捕されるという異常事態を、常識と実績のあるリーダーを前面に立てて乗り切ろうとするが、信頼回復に向けた道のりは険しい。(ライブドア取材班)
●変 則
「ライブドアの人間はこれまで社会経験が浅く回りの心を理解できていなかった」。代表権を付与された熊谷史人取締役(二八)は二十四日夜、平松氏らとともに都内のホテルで記者会見。反省の弁とともに平松氏を社長に選んだ理由を「豊富な人生経験だ」と語った。 堀江容疑者を二十〜三十十歳代の取締役が補佐する”サークル感覚”だったライブドア。こうしたなかで親子ほど年齢の離れた平松氏は、二〇〇四年にライブドアが買収したソフト会社「弥生」の社長でソニー勤務後、米AOLの日本法人などで社長も務めた経歴を持つが、これまでは執行役員上級副社長の肩書を持つのみだった。
社長は通常、取締役会で代表権を与えられて就任するのが一般的だが、平松氏は取締役ですらない。株主総会での取締役選任についても「いまのところ未定」(熊谷氏)だ。企業制度に詳しい大和総研制度調査部の横山淳次長は「一使用人である執行役員が社長になるのはイレギュラーなケース」と指摘し、今回の異例人事がせっぱ詰まったなかでの決定だったことを物語る。
企業経営と社会経験の豊富さを買われ、社長に就任した平松氏は「いままでのライブドアはピッチャーと四番バッターが同じ。そこが問題だった」と堀江容疑者に権限が集中していた旧体制からの決別を表明した。しかし、今後の経営ビジョンについては「就任して二十四時間たっておらず、具体的な策はまだない」と明示できず「法令順守を優先する」と語るだけ。
取締役に未就任では社長の権限は大幅に制限され、社長の意向が取締役会で否定される危ぐも漂う。新生ライブドアの方向性はいまだ見えないままだ。
● 課 題
新体制がスタートしたライブドアだが、その経営環境は日に日に厳しくなっている。東証マサーズに上場する同社株ま、連日のストップ安。東証は同社株を監理ポストに置き、上場廃止の可能性も出ている。
グループの揺らぎも目に見えて大きくなっている。ライブドアを社名に掲げる子会社のライブドアオートは「ライブドアブランドは、一連の問題で相当毀損(きそん)している。消費者心理への影饗が心配だ」と"ライブドア離れ〃を模索し始めている。社名変更やライブドアが保有するライブドアオート株の放出要請などを検討している。
さらに、ライブドアに13%弱を出資するフジテレビジョンは、堀江容疑者の代表権返上を理由に、来年九月まで保有株を売却できない契約を解除。日産自動車や東京電力などはライブドアのホームページなどに出していた広告を中止するなど、ビジネスヘの影響は確実に広がっている。
こうした緊急の課題への対応について平松氏は「通常の業務に戻すのが新体制発表の目的。員体的にはもう少し時間がほしい」と現状で有効策がないことを認めた。
外資系の投資ファンドや証券会社がライブドア本体やグループの有力企業の買収を物色する中、熊谷氏は「いまのところ身売りはない」と自力での再生を強調した。しかし、なんとか体裁を整えた新体制が社会や株式市場の信頼を取り戻すことができるか、先行きは不透明だ。
◆「不明と言われれば…」首相が責任言及 選挙支援
小泉純一郎首相は二十四日夕、証券取引法違反容疑で逮捕されたライブドア前社長の堀江賞文容疑者を昨年の衆院選で自民党が応援した責任問題について「人物を隅力まで調べるのは難しい。不明だと言われれば、甘んじて受けなければならない」と述べた。
首相官邸で記者団の質問に答えた。ただ、首相は「今回の(堀江容疑者)逮捕の問題と、小泉改革の問題とは別の問題だと思っている」と、自民党総裁としての責任論は重ねて否定した。首相は者をめぐる報道ぶりにも問題があったと指摘した。その上で「(堀江容疑者は)無所属で落選したんですから。メディァよりも有権者の方が冷静だったんじゃないですか」と述べた。
◆平松社長と一問一答
ライブドア熊谷文人代表取締役と平松庚三社長の記者会見での主な発言は次の通り。
◆「堀江容疑者迎える気ない」
熊谷先日四人逮捕された。株主、取引先、従業員などに大変な迷惑を掛けた。新体制で再びこのようなことが起きないように再度コンプライアンス(法令順守)を強化していきたい。
平松 新しいチームで失われた株主や顧客、パートナーの信頼を一日も早く回復したい。
−事件に関与していないのか。熊谷 捜査中でコメントできない。平松 事件はグループ入りする前のことだ。
−事件をどう思うか。
熊谷 疑わしいところはあったと思うが、捜査中なのでコメントできない。
−平松氏が社長に選ばれた理由は。
熊谷 豊富な人生経験だ。ライブドアの人間はこれまで社会経験が浅く周りの心を理解できていなかった。経営的にプロで経験もあり、周りとうまく接することができると思つた。
−熊谷氏が代表取締役になったのは。
熊谷 堀江(容疑者)や宮内(容疑者)などが逮捕され、常勤の取締役は私しか残っていなかった。経営面での権限は全面的に平松社長に移譲する。
−現在の事業面の状況と今後の経営戦略は。
平松 強制捜査後に広告や取引のキャンセルを受けた。今後の経営戦略は具体的にはもう少し時間がほしいが、ライブドアには優秀な人材が残っており、質の高いサービスがある。逆風を新しい形に持っていきたい。
−グループ関連会社の売却や身売りlはあるか。
平松 ありとあらゆる手段を考えるが、現時点では早急な現状認識とどこに問題があるかの調査が先だ。
熊谷 会社の身売りは考えていない。今ある資産を有効に活用して今より良いサービスを提供していきたい。
−熊谷氏が考案した株式の百分割については問題と認識しているか。
熊谷 株式の分割が問題とは思っていない。
一堀江前社長の取締役退任については。
熊谷 弁護士を通しており堀江(容疑者)との細かな意思疎通ができておらず聞けていない。社長と代表取締役の異動は本人の意思が確認できたので発表した。今後の方向性については堀江本人と話し合っていく。
−堀江氏らが戻ってきて、会社に再び迎え入れる気はあるか。
熊谷 帰ってきても迎え入れる気はない。
◆「不明と言われれば…」首相が責任言及 選挙支援
小泉純一郎首相は二十四日夕、証券取引法違反容疑で逮捕されたライブドア前社長の堀江貴文容疑者を昨年の衆院選で自民党が応援した責任問題について「人物を隅々まで調べるのは難しい。不明だと言われれば、甘んじて受けなければならない」と述べた。
首相官邸で記者団の質問に答えた。
ただ、首相は「今回の(堀江容疑者)逮捕の問題と、小泉改革の問題とは別の問題だと思っている」と、自民党総裁としての責任論は重ねて否定した。
首相は「メディアが、あれだけ時代の寵児(ちょうじ)みたいに取り上げたということはどうなのか」と、堀江容疑者をめぐる報道ぶりにも問題があったと指摘した。
その上で「(堀江容疑者は)無所属で落選したんですから。メディアよりも有権者の方が冷静だったんじゃないですか」と述べた。
■社説 首相の答弁 「別問題」では通らない 1月25日朝刊 5面
ライブドア前社長の堀江貴文容疑者は小泉構造改革の申し子のような存在だった。自民党が支援態勢を組んで、総選挙の大勝に利用したのは事実だろう。やはり小泉首相は道義的責任を免れない。
「この件と、昨年の衆院選で自民党幹部が堀江容疑者を応援したのは別の問題だ」。首相は国会の各党代表質問でこんな答弁を繰り返した。
自民党の武部勤幹事長も個人的な反省の意は示しながら、首相や党には賛任がないと強調していた。
堀江事件で、論戦は熱を帯びた。民主党の江田五月氏は前日の前原誠司代表に続いて「首相が見込んで政敵への刺客に登用した。自民党圧勝は偽装され粉飾されたものだ」-と批判した。共産党の志位和夫委員長も「『人の心はお金で買える』と公言する堀江氏を「改革の旗手」などと持ち上げたのは小泉首相、自民党ではなかったのか」と糾弾した。
自民党でも加藤紘一元幹事長が総務会で「カネですべて片づくと言う人物を応援したのはいががか。判断を誤っていたと率直に認めた方がいい」と指摘した。与野党を超えて首相の答弁に批判が出ている。
確かに自民党は公認も推薦もしていない。だが「君のような若者が政治に人ってくるのは素晴らしい」と出馬を促したのは酋相だった。選挙中、武部氏は「息子だ」、竹中平蔵総務相も「小泉首相、ホリエモン、私がスクラムを組む」と応援演説した。選挙戦に堀江容疑者の知名度を最大限和用したものだった。
「当時、法律違反をしていたとは知らなかった」という言い訳は通用しそうにない。
総選挙で応援したのは、ニツポン放送とフジテレビに買収攻勢を掛け、巨額の和解金を得た後だった。小泉自民党はマネーゲームを法のすき間をついた脱法行為と疑わず、市場の競争原理に乗った「勝ち組」ともてはやした。結果的にボリェモン的なものに”お墨付き”を与え、「二極社会」「拝金主義」を許す社会風潮をあおる形になった。
首相は代表質問二月目が終わった後になってようやく、国会の外で記者団に「人物を隅
々まで調べるのは難しい。不明と言われれば甘んじてうける」と一定の責任を認めた。「別問題」答弁では済まないと判断したのだろうが、どこまで責任を自覚しているか分からない。
二十六日には衆院予算委員会が開かれ、一問一答の論戦がある。首相ははっきりと説明し、ライブドア事件に象徴される小泉改革の「影」についての議論を深めてもらいたい。
■ ライブドア株売買規制 システムダウン防止 1月25日朝刊 8面
◆東証 きょうから1時間半に
東京証券取引所は二十四日、ライブドア株(東証マザーズ上場)の取引を午前は行わず、午後一時半から午後三時までの一時間半だけに制限すると発表した。二十五日から期限を設けずに実施する。ライブドア株の大量注文で東証のシステムがダウンする恐れがあるための措置で、個別銘柄の取引を規制するのは初めて。
十六日のライブドアに対する強制捜査以降、発行済み株式数が十億株を超える同社株こ膨大な売り注文が殺到。買い手がほとんどなく売買の成立(約定)件数は伸びないが、ここ数日の安値続きで割安感が出ているとの指摘もあり、約定する可能性が高まってきた。 東証によると、投資家は数百株から数千株を一件の売り注文で売ろうとしているため、二十四日に出された二億六千万株の売りがすべて買われると、約定件数は十五万件
前後になるという。東証のシステムは全体で五百万件までしか処理できな.いため、再び売買の全面停止になる恐れが高まる。
◆フジ、株処分可能に 「社長退任で譲渡制限失効」
フジテレビジョンは二十四日、保有するライブドア株について、ライブドアの同意なしに第三者に譲渡できないとの契約が失効したと発表した。ライブドアを代表して契約した堀江貴文容疑者が社長を辞任したことが、契約解除の要件にあたるためとしている。これでフジは保有するライブドア株を、フジだけの意思で処分できるようになった。
フジは昨年のニッポン放送株争奪戦を経て、ライブドアに四百四十億円を出資し、発行済み株式の12・75%を取得。しかし今月十六日にライブドアに強制捜査が入って以降、連日ストップ安が続いている。フジが一株三百二十九円で取得した同社株ま、二十四日時点で百七十六円まで急落、フジの含み損は二百億円強まで膨らんだ。フジの日枝久会長は、株売却などで損失が確定した場合、ライブドアヘの損害賠償請求を検討する考えを明らかにしている。
◆どうなるライブドア株
ライブドアの堀江貴文容疑者らの逮捕を受け、東京証券取引所はマサーズに上場している同社と関連会社のライブドアマーケティングの株式を「監理ポスト」に割り当てた。両社株の取り扱いは今後どうなるのかをまとめた。(松本観史)
◆基準審査後に上場廃止も
Q 監理ポストってなに。"
A
上場廃止の可能性を投資家に知らせるためにあるんだ。新聞の株価欄こちゃんと「監理」と区別してある。東証は今後、上場廃止基準に触れるかどうかの審査を行い、違反が見つかれば「整理ポスト」に移し、原則として一カ月後に上場廃止となる。それまでは、株式の売買は通常通りできる。
Q 両社株をなぜ監理ポストに割り当てたの。
A ライブドアに対する強制捜査後、東証は情報開示が不十分として両社の株を二十一日付で「開示注意銘柄」に指定した。しかし、堀江容疑者らの逮捕により、上場継続を認めると「公益や投資家の保護を定めた東証の包括規定」に触れる恐れがあるため、投資家にさらに注意喚起する必要がでてきたんだ。堀江容疑者らの逮捕容疑である「偽計取引」や「風説の流布」については明確な上場廃止基準がない。東証は捜査の進展などに注意しながら、粉飾決算など他の明確な上場廃止基準に触れる行為がなかったかを調べるわけだ。
Q 包括規定だけで上場廃止になったケースはあるの。
A 伊豆箱根鉄道など四件ある。ただ包括規定は裁量の余地が大きいから、東証は客観的な証拠や事実を積み重ねて、慎重に判断すると思うよ。
Q 一部で報道されているようにライブ下アグループの粉飾決算が明白になればどうなるの。
A 西武鉄道やカネボウと同じように、明確な上場廃止基準である有価証券報告書の虚偽記載に当たり、上場廃止桓なる可能性が高いんじゃないかな。
Q 持つているライブドア株を手放したがってる友達がいるんだけど。
A 市場での売買は可能といっても、十六日の強制捜査以降は売りが殺到し、売るに売れない状況が続いている。株価ま下がる一方で損が膨らむから、焦る気持ちはよく分かるよ。
Q 両社株が整理ポストに移った後に上場廃止になったらどうなるの。
A 整理ポストでも売買ができるが、まむなく市場で取引できなくなる不使さを嫌って大きく値を下げるケースがほとんどだ。ライブドアの株主は二十二万人もいて、上場廃止の影響は大きい。それに市場から資金調達できなくなったライブドアがグループ企業を「身売り」するなど、グループの解体が現実味を帯びてくるね。
Q 両社株の上場を認めた東証の責任よないの。
A 品質管理責任こついては「上場会社が最初から「」まかしを行った場合の解明はなかなか難しい」(長友英資・東証常務)と説明しているが、両社株を商品として店頭に並べた責任として店頭に並べた責任は免れないだろうね。仮に包括規定だけで両社株の上場廃止を決めた場合、ライブドアの株主が東証に対し損害賠償を請求する事態も考えられる。
◆終値は288円24銭高 東 証
ライブドアの堀江貴文ら首脳四容疑者の逮捕か
ら一夜明けた二十四日の東京株式市場は、前日に急落した反動で急反発。日経平均株価(2.25種)は上げ幅が三〇〇円を超える場面もあったが、取引終了にかけて伸び悩み、終値は前日比二八八円二四銭高の一万五六四八円八九銭だった。
全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は二四・五三ポイント高の一六二一・四二。出来高は約十五億八千八百万株。
一方、監理ポストに入ったライブドアとライブドアマトケティング株は、六営業日連続値幅制限の下限(ストップ安)をつけ、株式分割後の上場来安値を更新した。引き続き注文が殺到して買い手が付かない「売り気配」で推移し、取引終了時に比例配分される。
◆ライブドアの飲料水を撤去
エーエム・ピーエム・ジャパンは二十四日、ライブドア前社長の堀江貫文容疑者が逮捕されたのを受け、コンビニの店頭からライブドアが販売していた清涼飲料水「ホリエナジー」を同日に撤去することを明らかにした。
ホリエナジーは堀江容疑者が提案し、製薬会社と共同開発した栄養成分入り清涼飲料水(一本三十ml入り、三百八十円)。昨年十月十八日からライブドアのホームページ上と、関東地区の店舗限定でエーエム・ピーエムが販買していた。
■ 「会社経験浅かった」「ピッチャーで4番に問題」認める 1月25日朝刊 29面
「大変申し訳ありませんでした」。ライブドア前社長の堀江貴文容疑者らせら四人逮捕の翌日の二十四日夜、同社が初めて開いた記者会見。代表取締役となった熊谷史人氏(二八)と執行役員社長の平松庚三(こうぞう)氏(六〇)ら新経営陣は、冒頭と最後に深力と頭を下げた。このうち、東京地検特捜部の事情聴取を受けたことが明らかになっている熊谷氏は「地検が捜査中」を理由に事件への関与を明謄に否定せず、”生ライブドア”に大きな不安が残った。
◆新経営陣会見 関与否定せず
会見は、本社がある六本木ヒルズに近い東京都・港区のホテルで開かれた。二百席用意されたいすはほぼ埋まり、周りを約三十台のテレビカメラとカメラマン、いすに座りきれなかった記者がぐるりと取り囲んだ。午後八時すぎ、大量のフラッシュを浴びながら会場に姿を現した熊谷氏は、やや緊張した表情を見せ、早口で「株主、取引先、関係各所、従業員、家族にご心配をおかけしました。大変申し訳ございません」と陳謝、ほかの新経営陣四人も一斉に深々と頭を下げた。
報道陣から「事件への関与を明確に否定できるか」と問われると、熊谷氏は「捜査中であり、コメントは差し控える。大変申し訳ないという気持ちはある」。「株主を安心させるためにもきっぱりと否定した方がいい」などと促されても、「きっぱり否定したいのはやまやまだが、捜査に協力することが最大の任務」と述べるにとどまり、最後まで関与を否定する発言はなかった。
ライブドア社員の平均年齢はわずか三〇・七歳。この日ひな壇に並んだ五人のうち、平松氏を除く四人も二十代が一人、三十代三人という若さ。今回の事件では堀江容疑者ら幹部の社会経験の少なさを指摘する声も上がっている。
平松氏は、会社を野球チームにたとえ「いままでのライブドアは、堀江貴文がピッチャーと四番バッターだった。結果的にそこに問題があった」「コンプライアンス(法令順守)とコーポレ一トガバナンス(企業統治)の認識の深さが十分でなかった」と指摘した。
熊谷氏も「これまでの経営陣に足りなかった部分は社会経験が浅かつたこと。周りの方々の心や気持ちを理解できなかった部分があるとされている。(平松氏は)経営のプロフェツショナルで、人物的にも周りと和やかに接することができる」と、これまでの企業風土を否定するような語り口だった。
◆ 平松社長 「ソニーのDNA」「役員唯一の20代」 熊谷代表取締役
「ソニーのDNAを受け継いだ経営者」。ライブドアの新社長に就任した平松庚三氏は「ソニーの盛田昭夫氏(故人)にヘッドハンティングされた」と自社のウェブサイトで語っている。
自ら社長を務める業務用ソフト開発・販売会社「弥生」のサイトによると、ソニー時代は広報担当として盛田氏の下で働き、繰り返し聞いた「経営者はネアカでなければならない」という言葉が"DNA"になっている。「リーダーはいつも前を向いて、すべてをポジティブに考えることからスタートする。トップが前向きなら、それが会社中に広がっていく」という意味だという。
ライブドアの代表取締役に就任した熊谷史人氏は中堅証券会社のベンチャー融資担当から転身し、二〇〇一年一月にライブドアに入社。間もなく経営企画管理本部担当の副社長に就任、三十代が中心の同社役員の中で最年少、唯一の二十代としてらつ腕を振るっていた。ニッポン放送株買収劇の際には、フジテレビとの交渉役も務めた。
買収騒動についてはい自身のブログ(日記風林イト)でたびたび感想を書き込んでいた。「ニッポン放送株式の売却が終わったら、約千五百億円のキャッシュが残る」「他のライバ一ル企業に比べて、財務体質はとても良くなる」(〇五.年四月)また、買収劇などを通してライブドアの知名度が上がってきたことに「いまでは、世の中のほとんどの方がライブドアという社名を知っている。とっても幸せである」(〇五年三月)などと語っていた。
■ライブドア 本体粉飾も立件へ 宮内容疑者 認める供述 1月25日夕刊 1面
株価をつり上げる目的で虚偽の企業情報を公表したとして、証券取引法違反容疑(偽計・風」説の流布)で逮捕されたライブドア前財務担当取締役宮内亮治容疑者(三八)が、東京地検特捜部の調べに「二〇〇四年九月期決算で、架空売り上げを計上した。上場企業の場合、業績が悪ければ下方修正しなければならないが、修正すれば株価ま下がってしまう」と粉飾決算を認める供述をしたことが明らかになった。
◆「堀江前祉長も認識」
宮内容疑者は、ライブドア前社長堀江貴文容疑者(三三)の関与について、「粉飾決算は認識していたと思う」と供述しているとされる。特捜部は、両容疑者が株価の下落を回避する目的で、ライブドア本体の決算を粉飾したとみて、同法違反容疑(有価証券報告書虚偽記載)での立件に尚け、さらに追及する。
これまでの調べでは、ライブドアは二〇〇四年九月期決算で、グループ企業のロイヤル信販とキユーズ・ネットから、コンサルタント業務などを請け負ったことにして、計約十四億二千万円の架空売り上げを計上。
宮内容疑者は「自分は税理士なので『粉飾しただろう』と言われれば、認めざるを得ない」と語ったとされる。
また、同容疑者は、ライブドアとライブドア・マーケティング社が企業買収に絡んで自社株を売却、数十億円の利益をライブドア本体に還流させ、資産ではなく売り上げに計上したことも、ほぼ全面的に認めたという、このため特捜部は、還流資金も粉飾決算に組み込まれたとみて、詳しく調べている。
調べによると、堀江、宮内両容疑者らは、マーケティング社による出版社「マネーライフ」買収にからみ、虚偽の企業情報を公表したとして逮捕された。宮内容疑者は事実関係は認めたが、、「株の充り抜けが目的ではなく企業買収が目的。違法とは思っていなかった」と供述しているという。
◆155円で売買成立 ライブドア株
二十五日の東京株式市場で、監理ポストのライブドア株(東証マサズ上場)は、午後一時半の取引開始とほぼ同時に百七十一円の売り気配で始まり、午後一時五十三分に前日比二十一円安の百五十五円で売買が成立した。取引時間中に値が付いたのは七営業日ぶり。
十六日に強制捜査を受けた同社株は十七日以降は売りが殺到。大量の充り注文を残しながら、取引終了後こ値幅制限の下限(ストップ安)で比例配分される状態が続いていた。
同社株ま最近の安値続きで買い向かう動きが出てきたことや、経営陣の刷新などが好感され、二十五日の取引開始直前には買い注文数が売り注文数を上回っていた』
■ ライブドア新社長「ふさわしい」「延命策」平松氏への評価二分 1月25日夕刊 10面
「今までのライブドアは堀江貴文(容疑者)がピッチャーで4番バッター。そこに問題があった」と堀江体制を総括し、ライブドア新社長に就任した平松庚三(こうぞう)氏(六〇)。同社株は依然売り注文が殺到し続ける。揺らいだ信頼には歯止めはかかりそうもない。堀江容疑者逮捕翌日というスピーディーな交代劇。専門家らの目にはどう映ったか。
企業法務に詳しい永沢徹弁護士は、新社長に平松氏を起用したことについて、「堀江色がなく、会社の経営実績があり、事件にかかわっていないのが新社長の条件。平松氏はいずれの条件もクリアしており、ふさわしい」と評価する。
代表権のない執行役員のトップ就任だが、永沢弁護士は「取締役に就任するには、臨時株主総会を開かねばならず膨大な作業が必要。今の緊急事態にあっては、仕方がない」とみる。
経営評論家の小林一平氏は「第三者的な立場の人でなく、言いなりになるブレーンで埋めた感じがする。堀江容疑者が戻るまでのつなぎ、延命策
ではないか」と厳しい見方。
「かつてソニーにいた平松氏なら、ある程度社会的な信用もある。年配者を表に出し、実権は昔からのブレーンである(代表取締役の)熊谷史人氏に与えることにしたのではないか」と批判、信用回復は難しいとする。
◆熊谷氏の代表「問題」投資家ら
東京・日本橋兜町の東京証券取引所前で、銀行員男性(四〇)は「先行きを見ないと何とも言えない。事件に無関係と思えない熊谷氏が代表になるのは、社会的に問題があるのでは」と話した。
「昨日の記者会見で熊谷さんが『会社を切り売りしないで』と言っていたが、もう切り売りするしかないでしょう。熊谷さんの代表就任もネガティブ(否定的な要素)」と手厳しいのは、外資系の投資顧問会社の株式調査部長(三七)。
名古屋証券取引所で株価動向をチェックしていた三重県鈴鹿市の無職男性(六四)は、ライブドアマーケティング社の株主。四十年問の投資歴で、持ち株企業がスキャンダルに巻き込まれたのは初めてで「大きな損にはなら一ないが、売るに売れない」と苦笑。「組織も人事も一新しなければ生き残れない。いち早くベテランを据えたのは良かった」と、立ち直りに期待を寄せた。
名古屋市中区の証券会社を訪れた愛知県小牧市の男性(五一)は「市場が過熱しすぎていた印象があり、今回の件で、多少は冷静さを取り戻すのではないか」と話していた。
§10ライブドア 不正手法「99%発覚ない」 1月26日朝刊 1面
◆岡本容疑者メール連絡 前社長に相談後
証券取引法違反容疑で逮捕された「ライブドアマーケティング」前社長岡本文人容疑者(三八)が二〇〇四年秋、ダミーの投資ファンドを利用して高騰した自社株を売り抜ける不正な手法について、「99・9%発覚するおそれがない」と関係者にメールで連絡していたことが、東京地検特捜部の調べで分かった。
メールにはライブドア前社長堀江賞文容疑者(三三)と相談したことを示す記述があることから、特捜部では、堀江容疑者も違法性を認識していた疑いが強いとみて追及しているもようだ。…関連BEFS面
調べによると、ライブドアが実質支配する投資事業組合は二〇〇四年六月、出版社「マネーライフ社」を四干二百万円で買収。マーケティング社は同年十月、株式交換によるマネー社の買収計画を発表する一方、十一月には自社株を百分割する方針を決めた。その際、マーケティング社内部で「株式分割はマネー社買収と連動した不正な株価つり上げになる可能性がある」との指摘が出たため、岡本容疑者は堀江容疑者やライブドア前財務担当取締役宮内亮治容疑者(三八)と相談した。
岡本容疑者は相談の結果として、「ファンド(投資事業組合)を使って利益を上げるスキーム(枠組み)は、99・9%発覚するおそれがない」と記したメールを関係者 に送ったとされる。
投資事業組合は翌〇五年一月、株式分割などで高騰したマーケティング社株十六万株を外資系の投資ファンドに約八億円で売却。うち約六億九千万円がライブドア本体に還流したという。
企業買収と株式分割を組み合わせ、本体に自社株などの売却益を還流させる仕組みは、宮内容疑者を中心に発案され、堀江容疑者の指示や承認を得て、実行に移されたとされる。
特捜部は岡本容疑者が送信したメールを押収。堀江容疑者らが一連の違法な自社株売買を隠す目的で、投資事業組合をダミー的に利用したことを示す重要な事実とみているもようだ。
◆ライブドア株終値137円 摘発後初売買成立 時価総額は8割減
二十五日の東京株式市場でライブドア株への買い注文が殺到し、十六日の強制捜査以来、七営業日ぶりに売買が成立した。値幅制限いっぱいのストップ安が続いて割安感が出たほか、新経営陣も誕生、投資ファンドなどによる買収観測が浮上したことなどから買い注文が集まった。
終値は前日比三十九円安の百二十七円だった。十六日の終値と比べると五百五十円余り値下がりした。時価総額も約一千四百二十億円と、十六日の約七千三百億円から八割以上が吹き飛んだ。
東証は二十五日から、ライブドア株の取引時間を午後三時までの九十分間に短縮した。しかし、ライブドア株の同日の出来高は約四億二千百万株に上った。
市場関係者はライブドアの一株当たりの企業価値を百八十円程度とみており、「その水準を下回ったため、買い注文が入ったのではないか」(大手証券)と分析した。
この日は朝から買い注文が増加。取引開始の午後一時半以降も注文は膨らみ、二時前に二十一円安の百五十五円で値が付いた。ライブドアマーケティング株も下落した。
◆本社・グループの全取締役 堀江容疑者が辞任
ライブドアは二十五日、社長を辞任した堀江貴文容疑者と、岡本文人容疑者が、証券取引法違反容疑で逮捕されたことを理由に、同日付で取締役を辞任したと発表した。両容疑者ともグループ会社の取締役をすべて辞任、堀江容疑者はライブドア経営から完全に退いた。
堀江容疑者は二十四日に同社社長を退いた際には、取締役にはとどまっていた。平松庚三社長ら新経営陣は、早期の信頼回復には「脱・堀江路線」の徹底が不可欠と判断、堀江容疑者が新経営陣の意向を踏まえる形で、取締役残留の意向を撤回したと見られる。
同社をインターネット関連企業に急成長させ、一時は「情報技術(IT)の寵児(ちょうじ)」ともてはやされた堀江容疑者は、東京地検特捜部が強制捜査に入ってから十日目で経営者の立場から転落した。
ただ堀江容疑者は、同社の発行済み株式の17%超を保有する筆頭株主であり、今後保有株をどう扱うかが同社の経営の先行きに大きな影響を及ぼすことになる。
関係筋によると、堀江容疑者は当初は取締役には残留したい意向を示していた。しかし二十五日になって、接見した弁護士に、取締役を辞任したいとの意向を伝え、同社がこれを受理した。
堀江、岡本両容疑者の辞任によって、ライブドアの取締役は商法の規定による最少人数である三人となった。同社は取締役に就かないまま社長となった平松氏らを取締役に選任するための臨時株主総会開催を検討する。
◆堀江容疑者ら4人拘置決定
東京地裁は二十五日、。証券取引法違反(偽計、風説の流布)容疑で逮捕されたライブドア前社長堀江貴文、前財務担当取締役宮内亮治、元取締役岡本文人、元執行役員中村長也(三八)
■市場の寵児いまや標的 1月26日朝刊 3面
◆ライブドア株売買成立
「ホリエ色」を払しょくし、経営陣を刷新して再スタートしたライブドア。東証マサーズ上場の同社の株式は二十五日、強制捜査が開始されて以来初めて、通常取引で売買が成立した。ネット取引の個人投資家を中心に「これ以上は下がらない」とみたため、一気に買い注文も膨らんだ、”市場の寵児(ちょうじ)”ともてはやされてきたライブドアは皮肉にも、マネーゲームの格好の標的となっている。(経済部・吉田通夫、発知恵理子)
◆マネーゲームの様相
■買いも殺到
「百円台と手ごろな株価になったためだ」
大和証券SMBCの高橋和宏・エクイティ企画部部長は、売買が成立した理由をこう分析した。
午後一時半。ライブドア株の充買は、特別措置として他の銘柄の取引から三十分遅れて始まった。
「待機中」に積み上がった買い注文は一億株を超え、売り一色だった前日までとは明らかに違う雰囲気だ。
取引開始直後、気配値は百七十一円を示した。注文がもみ合う中で、じりじりと値は下がり、午後一時五十三分、百五十五円で取引が成立した。一時間半と短時間の取引にもかかわらず、百二十円台-百六十円台の間で乱高下を繰り返した。
この日、ライブドア株の約定件数は二十二万件、取引全体の7%に達した。東証は「多い銘柄でも通常3%程度。過熱感がある」と指摘する。
■分割の反動
十六日夕の強制捜査後、売り注文が殺到。ライブドア株は買い手がつかずに下がり続け、十六日の六百九十六円から二十四日は百七十六円と、上場来安値を更新した。
◆割安感背景に4億株超取引
ここまで売り注文が殺到したのは、ライブドアが、個人投資家を増やす仕組みの「株式分割」を繰り返してきたためだ。同社は株価を一時的につり上げる装置として「分割」を利用したとされるが、二〇〇三年八月から約一年の間に株式分割を三回繰り返し、発行する株券は一万倍の十億株超になった。
この結果、株主は昨年九月末で二十二万人と〇二年の千六百人から激増した。一株数百円と買いやすい価格となり、売買単位が一株であることなどから「個人投資家が長期保有を考えずに気軽に買った」(大手証券)ようだ。
強制捜査後ま、個人投資家が「いくらでも構わないから、とにかく売りたい」と”投げ売り"に走った。「流動性がありすぎた」と東証の西室泰三社長は、ライブドアが繰り返してきた株式分割を非難した。
■思惑が交錯
十七日以降に殺到していた売り注文は最多で三億株弱だったが、二十五日に成立した売買は四億株超。「ネット投資家が、安い値段で買って高い値段で売り、利ざやを稼ぐ行為を何度も繰り返した」(準大手証券)ためだ。「ライブドアが買収対象になる」「フジテレビが賠償請求するかもしれない」など、思惑も交錯した。
ライブドアの経営の支えとなってきた時価総額は、昨年末の八千億円近くから千四百億円に下落。現在、一億八干万株を保有する筆頭株主の堀江貴文容疑者も十六日からの九日間で干億円を超える資産を失った形だ。「ニッポン放送株の買収合戦を演じた一年後にこうなるとは、何とも皮肉な結果だ」と大手証券の担当者はつぶやいた。
■買収18社大半が赤字 1月26日朝刊 6面
ライブドアが本体や関連会社を利用して二〇〇一年十二月から昨年四月までの間に株式交換の手法で子会社化した企業十八社のうち、十五社が子会社化される前の三年間で純損益で赤字決算になるなど収益力に問題を抱えていたことが、二十五日分かった。
うち七社は三年間に一度も純損益で黒字を出して居らず、売上高がゼロ、従業員ゼロといった度も純損益で黒字を出し事実上の"ぺーパー企業”も含まれていた。ライブドアには、株式交換を活用した企業買収に絡んで数十億円の利益を還流させていた疑惑があるが、買収戦略そのものが収益向上や売上高増といった具体的な事業拡大を見込んだものとかけ離れていた実態が浮かび上がった。
市場関係者からは「株式交換を利用したマネーゲームだったのでは」との指摘も出ている。
ライブドアの公表資料などによると、〇四年三月に子会社化した貸金業「ABS」は、〇二年十一月の設立から売上高はほぼゼロで、従業員数もゼロだった。〇四年三月に同様に子会社化した人材派遣業「トラィン」は、事業を一時休業して〇二年三月期決算の売上高がゼロだったほか、子会社化される直前の〇四年二月に増資されるまで債務超過だった。
〇一年十二月に子会社化した「パイナップルサーバーサービス」や、〇四年三月に子会社化した「クラサワコミュニケーションズ」など赤字決算が続いていた企業が、次々にライブドアに買収されていった。
ライブドアは不採算企業や事実上経営実体がない企業を相次いで株式交換で買収してグループを急拡大。その裏で、前社長の堀江貴文容疑者らの逮捕容疑となった証券取引法違反(偽計取引)が進行していた。
◆セシールの取締役も辞任 岡本容疑者
ライブドア傘下の通信販売大手セシールは二十五日、東京地検特捜部に証券取引法違反容疑で逮捕された岡本文人容疑者(三八)が取締役を同日付で辞任したと発表した。
岡本容疑者が社長を務めていたライブドアマーケティングを通じ、辞任届が出された。岡本容疑者は二十日付でセシールの新社長に就任する予定だったが、当日になって辞退。 代わりにライブドアグルrプの佐谷聡太氏(四九)が就いた。
■ライブドライ株 売買60分に再短縮 きようから東証追加措置 信用取引も禁止
東京証券取引所は二十五日、監理ポスト入りしたライブドア株の取引時間について二十六日から当分の間、さらに三十分短縮し、午後二時から午後三時までの六十分間に限定すると発表した。大量売買が東証のシステム障害につながらないよう、投機的な取引をけん制するのが狙い。売買、注文動向次第では同株の売買を停止する可能性もあるという。
また、同株の買い付け代金を即日徴収すると発表。通常は投資家が四営業日後までに払い込む代金を現金で即日徴収することで、短期売買を繰り返す行為を抑える。信用取引による新規売買や、証券会社の自己売買と投資家が証券会社に運用を任せる「一任勘定取引」も当分禁じる異例の措置も実施する。
ライブドア株の注文受け付けは、通常通り午前八時から開始する。
◆ライブドア証券注文処理が遅延 親会社株集中影響か
ライブドアの子会社、ライブドア証券のインターネット取引で二十五日午後、注文処理の遅延や一部で取引画面にアクセスできなくなるトラブルが発生した。
東証マサーズ上場のライブドア株の注文が集中した影響があったとみら れる。
同証券によると、トラブルが起きたのはライブドア株が寄り付いた時刻とほぼ同じ午後一時五十分すぎ。さらに、午後二時すぎにはホームページ自体も表示されにくい状態となった。いずれも午後二時四十五分ごろに復旧したという。
同証券は「原因は調査中だが、注文処理の遅延は一部銘柄への注文集中が影響した」としている。
■フジ、買収も選択肢 ライブドア支援 近くトツプ会談
フジテレビジョンが、新経営体制に移行したライブドアに対し、買収も選択肢の一つとして抜本的な支援策を検討していることが二十五日、明らかになった。ライブドアの平松庚三社長ら新経営陣との協議を進め、法令順守と企業統治体制が確立されたと判断できた時点で、具体策を打ち出す。
ライブドアはこの日、社長を辞任した堀江貴文容疑者が、取締役も辞任したと発表。フジは堀江容疑者が同社経営から手を引いたことで、再建に乗り出す。
ライブドアは昨年、ニッポン放送株を大量に取得。フジは「押しつけら.れた形」(幹部)で、放送と通信の融合への業務提携をスタートさせた。今後は、主導権を握りながら、知名度が高いボータル(玄関口)サイトなどライブドアの資産を有効活用し、融合を推進する方法を探る。フジの日枝久会長は二十五日夜、平松社長から近く会いたいとの串し出があり、トップ会談する見通しを明らかにした。
フジは、ラィブドアの発行済み株式の12・75%を保有し、17%超を持つ前社長の堀江容疑者に次ぐ第二位の大株主。昨年四百四十億円を出資し取得した株式は、東京地検の強制捜査を受けて急落し、二十五日には二百五十億円を上回る含み損を抱えた。
フジは、事件の発覚当初は資本の引き揚げも検討した。ライブドアは現在、イメージ悪化から顧客や提携先離れが進んで いるが、フジには、支援姿勢をはっきりさせれば、信用と業績の回復が図れるとの読みもある。
株式が上場廃止に追い込まれたとしても、追加出資や株式の公開買い付け(TOB)によって、経営に深く関与することは可能だ。業績が回復して再上場できれば、これまでに抱えた損失の回収も十分可能になる。
日枝会長はライブドアの現状について「再建しようという人が集まって、新経営陣ができ上がった」と評価している。原則としてライブドアグループを一体で支援していく方針だが、傘下の一部企業は、売却も検討するとみられる。
■ SBIHD 北尾.吉孝 CEOに聞く
ライブドア事件は株式市場に潜むマネーゲームの危うさを浮かび上がらせた。今回の事件から何を学ぶのか。同社によるニッポン放送株取得で、フジテレビジョン側の「ホワイトナイト(白馬の騎士)」堀江貴文容疑者と対立したSBIホールディングス最高経営責任者(CEO)の北尾義孝氏(55)=写真=に聞いた。
−堀江資文容疑者を経営者としてどう評価するか。
「堀江さんは公共財である資本市場の清例(せいれつ)な地下水を汚した。ニッポン放送株騒動の時、私がホワイトナイトを買って出たのはそのことへの義憤からだ。株式分割は、株券ができるまで株価は高騰し、株券ができたら急落する。その中では買って損をする人も必ずいる。そういう状況を利用して株交換で(有利な)買収をする。それは法律的に許されても、倫理的価値観こもとる。さらには徹底した拝金主義。まともな経営者とは見ていなかった。今回の事件は起こるべくして起こった当然の帰結だ」
-人気者になった堀江容疑者を政財界もためらいなく受け入れた。
◆「拝金主義」当然の帰結
「社会の指導者に見識がなかったのは残念だ。倫理的価値観を持たない人物を自民党は選挙に勝つために担ぎ出し、日本経団連も役員全員一致で入会を承認した。(リーダーとしての)権威はどこに行ったのか」。
−今回の事件から学ぶべきことは。
「京セラ創業者の稲盛和夫さんが人生の成功のカ程式は『考え方』と『能力』と『熱意』を掛け合わせたものと言っている。それに照らせば『考え方』がマイナスだった堀江さんは、熱意と能力があっただけに全体のマイナスが大きくなった。もっと利益を出さないと、もっと時価総額を上げないと、と焦る半面、事業からそう簡単に利益は上がらず、問違いを繰り返したのだろう」
「野心と志は違う。事業の基は徳。利の基は義。徳がなければ事業は成功しないし、正しいことからしか利益は出ない。若い人たちには、ぜひ今回の事件を教訓にしてもらいたい」 −株式市場への影響をどう見る。
「日本経済はデフレ脱却間近。各種指標からもマーケットに過熱感はなく、非常に強い基調にある。情報技術(IT)業界でもブロードバンドの拡大で多くの企業が業績を伸ばし、株式公開企業が続出している。今回の事件はあくまでもライブドア固有の問題。事件で株価は下がったが、調整は短期間で終わり、相場は戻る。投資家は右往左往しないことだ」
■中部の企業家に衝撃 ベンチャー経営の若手 1月26日朝刊 7面
IT(情報技術)ベンチャーの旗手ともてはやされたライブドア前社長の堀江貴文容疑者。ガリスマ起業家のあっげない"退場"は、中部地方のベンチャー企業の若手経営者にも衝撃を与えた。同時に、なりふり構わない極端な成長戦略にば批判的な意見が相次いだ。
■堀江流手法は批判
情報通信サービスのアイテム(名古屋市)の安川正勝社長(三七)は「IT業界全体に影饗するのではないか。ITベンチャーが悪いのではなく<上層部の密室協議にょる経営が招いた結果」と、コンプライアンス(法令順守).意識の欠如を嘆く。
携構電話の「着うた」サービスの運営などを手がけるメディアドゥ(同)の藤田恭嗣社長(三二)も「同じーT事業者として逮捕まショック」と話す半面、大幅な株式分割や企業買収を繰り返す手法を「事業の実態が伴わないまま、マネーゲーム的だ」と疑問視した。
ITペンチャー、シフト(同)の遠藤広行社長(三三)も「株式の時価総額だげをつり上げていぐやり方で肥大化しても、本当の意味で企業の成長ではない」と同調。NTT西日本などの代理店を運営する東名(三重県四日
市市)の山本文彦社長(三六)は「奇抜な方法が実態以上に過大評価されたと思う。 地道にコツコツと積み上げる経営者がもっと評価されるべきだ」と感想を漏らす。
生産受託業務や経営コンサルタント業などの日本リガメント(名古屋市)の田中正次会長(四四)は「短期間に複数社を買収したのでは、買収先の社員と語し合い、企業をどう生かしていくのかを考える時間がなかったはず」と、ライブドァの拡大戦略を批判する。
一方、中古車検索サイト運営や自動車板金塗装サービスのファブリカコミュニケーションズ(名古屋市)の谷口政人社長(三六)は「極端なやり方だが市場のルールがついてこなかった以上、おかしいとは言えない」と、"堀江流"錬金術を可能にした制度の不傭を問題視。ごうした行為を見過ごした監査法人や主幹事証券会社の責任も指摘した。別のベンチャー企業経営者(三八)は「同じベンチャー企業として見られるので、上場を目指す企業は審査が厳しくなったり、影響を受ける恐れがある」と懸念を示した。
■ ゆがんだ倫理で並走「あれはオレの会社」 1月26日朝刊 29面
「ライブドアは堀江の会社じゃない。あれはおれの会社なんだ。堀江は単なる"販売促進材料"だから」。ライブドアのナンバー2で前財務担当取締役の宮内亮治容疑者(三八)は昨年、前社長堀江貴文容疑者(三八)のことをこう友人に語っていた。自慢するわけではなく、"時代の寵児(ちょうじ)"に上り詰めていくホリエモンヘの嫉妬(しっと)心が感じられるわけでもない、淡々とした語り口だったという。
◆宮内容疑者、買収仕切る
「友人」は、あるITベンチャー企業の社長。冒頭のエピソードは、業界の取材を続けるジャーナリストの佐々木俊尚氏が、その社長から聞いた話だ。堀江、宮内両容疑者を伺度も取材した佐々木氏がこう解説する。
「うまいこと自分の手のひらの上でクルクル回ってくれているというイメージだろう。宮内氏はそれほど自己顕示欲の強い人ではなく、どちらかといえば出たがらない。非常にクールな人だ」
二〇〇〇年四月。東証マサーズヘの上場を果たしたライブドアの出発点「オン・サ・エッヂ」を代表し記者会見に臨む堀江容疑者の右隣に、宮内容疑者の姿があった。
記者が上場後の見通しを問うた。「えー、今後の増収増益につきましては...」。言葉に詰まった堀江容疑者の視線が宮内容疑者に向く。「経常利益ベースではご期待に沿えると想います」。言葉を引き取った宮内容疑者が胸を張った。
宮内容疑者は、最高財務責任者(CFO)としてライブドアの企業買収事業を仕切った。堀江容疑者が一躍全国に名を知られるきっかけとなったプロ野球参入問題でも、近鉄球団買収の意向を表明した記者会見で、前社長の隣に座づていた。
「理想のナンバー2」。創業者に負けない熱意で仕事に励む宮内容疑者を、こう評したベンチャ的な発言を放った堀江容疑者。家宅捜索の前週、雑誌「週刊東洋経済」のインタビューで「黒なことやルール逸脱はまずい。でも、グレーは全然いいんじゃない」と言った宮内容疑者。二人三脚ぶりは際立っていた。
家宅捜索翌日の今月十七日。海外出張先から戻ったばかりの宮内容疑者は、成田空港で「企業買収ほ私が責任者。堀江社長の責任問題に発展することはない」と答え、堀江容疑者をかばった。しかし逮捕後ま、東京地検特捜部の取り調べに「社長もライブドア本体の粉飾、逮捕容疑について当然認識があったんじゃないか」と供述しているとされる。
■ ライブドア 粉飾資金を事前送金 系
列2社架空取引に充当 1月26日夕刊 1面
ライブドアグループによる証券取引法違反事件で、ライブドアが二〇〇四年九月期決算で、グループ企業二社との架空取引で売り上げを水増しした際、実際に相手から支払いを受けたように見せかけるため、資金を事前に二社に送金していたことが明らかになった。東京地検特捜部では、ライブドァ前財務担当取締役宮内亮治容疑者(三八)1-同法違反容疑で逮捕Hらが、ぺーパー取引ではなく実際の取引を仮装することで、発覚をより難しくしようと画策したとみて追及している。=関連ABJ面
調べによると、ライブドアは〇四年九月から十月にかけ、グループ企業の「ロイヤル信販」と「キューズ・ネット」から、コンサルタント業務などを請け負ったことに仮装して、計三回総額約十四億二千万円の支払いを受け、売り上げに不正計上したとされる。
このうち同年十月、ロイヤル信販から振り込まれた三億円余りは、振り込みの前日、ライブドアがロイヤル信販に三億円を送金。実際に取引があったように見せかけるための支払い原資という。
一方、ライブドアの子会社「ライブドアマーケティング」が同年十一月、同様の架空取引でキューズ社から約一億一干万円の支払いを受けた際も、ライブドアが事前にキューズ社に約二億一千万円を送金していた。
同時期、子会社「イーエックスマーケティング」もキューズ社との架空取引で、約一億二千六百万円を売り上げに計上したとされる。
架空売り上げを計上した子会社二社は当時、ライブドアの連結決算対象だったため、ライブドア本体の決算だけでなく、連結決算も水増しされたことになる。
これらの粉飾決算は、ライブドアの宮内容疑者が中心になって実行し、前社長堀江貴文容疑者(三三)も了承していたとされる。決算は同十一月十八日に発表された。
関係者によると、宮内容疑者は特捜部の調べに粉飾決算の事実を認め、「上場企業の場合、業績が悪ければ下方修正しなければならないが、修正すれま株価ま下がってしまう」と供述しているという。このため特捜部では、堀江容疑者らが赤字決算による株の下落を恐れ、決算を粉飾したとみているもようだ。
■『堀江流』がもたらしたものは 1月26日夕刊 2面
「人の心はお金で買える」と言い切ったライブドア前社長、堀江貴文容疑者の証券取引法違反事件は拝金主義の流れにくぎを刺した。留飲を下げる声が上がる一方で、「堀江流」には時代の申し子と評されてきた面もあったは乱その功罪とは。
■祉会ルールに風穴 起業意欲引き出す
堀江容疑者のインターネット上のブログ(日記風サイト)には、一般の人から書き込みが相次いでいる。東京地検は「証券取引の公正を害する重大な法律違反が証拠で明らかになった」(伊藤鉄男次席検事)として事件の解明を進めるが、二十三日の逮捕後も一般からのエールは減らない。
◆突破力と発想力
◆突破カと発想力
専門家たちは専門家達はホリエモンの”功罪”をどう見ているのか。悪質商法や消費者トラブルに詳しい紀藤正樹弁護士は同氏をから「空」と形容する。
「IT(情報技術)企業を経営しながら、ネットに必ずしも詳しくないという印象を会った際に受けた。その知識のなさが既成の社会ルルに風穴を開ける強みにもなった」と分析。その一つが近鉄球団の買収提案だ。
「堀江氏が買収を提案しなければ、二リーグ制は廃止されていたはずで、堀江氏は歴史的な役割を果たした」と、堀江容疑者の突破力を評する。
著書に「株式投資これちよ一つだけ心得帖」もある個人 向け投資顧問会社ビー・アール・ビー・インベストメントの東保裕之代表は「まだ起訴されたわけではないので」と、言葉を選びつつ「株式分割は、少額で投資できるようにと、東京証券取引所も推進したもので、それ自体は悪いことではない。ただ(証券)業界の人間なら三分割、五分割、せいぜい十分割と考えるところを、ライブドアは百分割というとんでもないことをやった」と、堀江容疑者の素人ならではの発想に舌を巻く。
ところで、「株式分割のからくり」は、ある株の百分割を公表した後、実際に株を取引できるまでの”品薄”状態を巧みに利用して、株価を高騰させる仕組みだった。現在は品薄を防止するため、分割直後から売買できるように改められた。
◆若者からの共感
こうした経緯を踏まえ、東保氏は「株式分割で株価を上げて幻惑する手法が定着していたが、結果的にライブドアのおかげで改善された。事件の影響で監査法人に対する世間の要求水準も上がるのでは」と逆説的にホリエモンの〃功"を語る。
経済評論家の奥村宏氏は「相手企業の株を買い占め、乗っ取るのは悪いことでもなんでもなく、乗っ取られるのがいやならば、企業は上場廃止すればいい。古いエスタブリツシュメントの経営者らはホリエモンに脅威を感じたが、若者からは共感を得た」と話す。
さらに、明治学院大学の川上和久教授(メディア論)は堀江容疑者を「犯罪は犯罪として糾弾されなければならないが、堀江氏が社会にもたらしたプラス面も考えるべきだ」と指摘。その一つが「ライブドアという無名の企業を若者のあこがれの的にしたこと」だ。
川上氏は「メディアにニュース価値を売り込む才能は小泉首相に通じるものがある。大学受験生の間で、経済学部が法学部よりも人気が出たのも堀江氏の功績だし、若者のベンチャー意欲を引き出した」と指摘する。
堀江容疑者がニッポン放送株買収を通じて乗り出したテレビメディアとの攻防の功罪はどうか。
「放送レポート」の岩崎貞明編集長は「フジテレビ首脳が『報道機関だ。公共性がある』と言ったとき、視聴者から『くだらない番組をやっているくせに、公共性が分かっているのか』とのメールを受けたという同社関係者もいる」とのエビソードを紹介した上で堀江容疑者から、放送の公共性とは何かという大命題を突きつけられたと見る。
また、岩崎氏は「ライブドアは市民ジャーナリストの記事をインターネットで紹介し、事件当時者が自分で書いた記事お掲載きれた」と話す。
◆規制緩和に警鐘
一方、奥村氏は、堀江容疑者の負の還産も裏返しで強調する。「株式分割で過剰な投機を招き(株価をつり上げておき)株式交換で相手を乗っ取る」と分析し「ネット取引で一日に何度も回転売買するギャンブラーが増え、証券市場が賭博場と化さなければ、ホリエモンの手法は通用しなかった。以前な
ら旧大蔵省が値幅制限しただろう。規制緩和と称し投機が促進されている。株の投機化を放置している国はほかにない」。
プロ野球への参入表明にも疑問を投げ掛ける見方がある。
◆過剰な投機を招く プロ野球問題未決
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は「堀江氏がプロ野球参入を言い出したのは、スポーツがもつ文化的な価値に関心があったからではなく、金もうけの手段としてだけだった」と切り捨て「球界が十二チームで成り立っていくのかどうかが問われていたのに、問題は何一つ解決されず先送りされた。堀江氏を救世主として持ち上げた選手会は猛省しないといけない」と苦言を呈す。
また紀藤氏は堀江容疑者の「空」は弱みでもあったと指摘する。「いいアイデアが転がり込んできたとき、無条件に取り入れてしまう。ドラえもんのポケットのように何でも取り出せる。それが一方で風穴をあけたが、他方で犯罪とモラルの見分けすらつかなくなってットで紹介し、事件当事しまったのではないか」
■フジのライブドア支援 会長「選択肢の一つ」 1月26日夕刊 3面
フジテレビジョンの日枝久会長は二十六日朝、今後のライブドアの経営再建について「支援は選択肢の一つ。これから伸びていくと判断すればそういうこともあるかもしれない」。と述べ、幅広い支援策を検討する考えを示した」。東京都内で記者団の質問に答えた。
日枝会長は近くライブドアの平松庚三新社長と会談し、今後の経営の進め方について考えを聞き、再建策を協議する考え。
フジは事件発覚当初、ライブドアとの資本関係解消こ頃いた。しかしニッポン放送株争奪戦で対立した前社長の堀江貴文容疑者らが経営から完全に退いたこともあり、フジが支援姿勢を示せば、両社の企業価値向上につなげられるとの考えを強めている。
■困ったホリエモン本「撤去」「静観」悩む書店 1月26日夕刊 11面
時代の寵児(ちょうじ)から一気に容疑者に転落したホリエモンこと、堀江貴文前ライブドア社長(三三)。事件の波紋は、混乱が続く株式市場だけにとどまらない。店頭をにぎわしてきた"ホリエ本"を撤去する書店が出たり、ホリヱモンをキャラクターにした商品が回収を余儀なくされたり…。「想定外」の余波に関係者も困惑を隠しきれないでいる。
堀江前社長の著書などを撤去したのは「ら<だ書店本店」(名古屋市千種区)。ビジネス書コーナーに平積みにされていたり、.並んでいたりしていた関連書籍数点が逮捕後、姿を消した。「捕まった人の本を置いているのは好ましいことではない」(同店)との考えからだ。
岐阜県内に十二店を展開する「自由書房」は、版元のライブドア系列の出版社が倒産することを懸念し、逮捕翌日に本の撤去を全店に指示した。しかし、幹部の判断でその日のうちに撤回。「読みたい人もいるだろう。小売り店が判断して言論を狭める必要はない」大手の三省堂名古屋高島屋店やジュンク堂名古屋店など静観する書店も多い。
堀江前社長ブームに貫献した株や起業本は依然、売れ筋。両店をむホリエ本は「他のビジネス書と同じ扱い。撤去はしない」と読者の判断に任せる。ただ、ある店員は「成功法則の本なので、ああなると誰も買う気はしないだろう」。
フジサンケイグループの扶桑社(東京都)は今月末に予定していた本の出版を急きよ延期。「状況が全く読めないので…」と困惑する。
余波は出版業界以外にも。
名古屋市が本部のパソコン専門店は、堀江前社長の顔写真入りの会計ソフトとDVDのセットなどを扱うが、店内の商品をPRする顔写真付きポスターやパネルを外した。担当者は「ホリェモンはもはや店にプラスじゃない」。
ライブドアなどが開発した栄養ドリンク「ホリエナジー」を関東地区限定で販売していたコンビニチェーン「エーエム・ビーエム・ジャパン」(東京都)は、逮捕後、商品を撤去した。「売れ行きは好調だったが、ライブドアと相談してい決めた」と話す。
玩具メーカー「タカラ」(東京都)は、定番「人生ゲーム」の企業の合併・買収(M&A)を題材にした新商品を昨年発売。堀江前}斑長が制作に協力したが、同社は「アドバイスをもら・.っ虎だけ。一部では『監修した』とも言われたが、全くの誤解。堀江前社長は制作に深くかかわっておらず、残念だ」、一転、ホリエモン色の一掃に躍起になっている。同社は昨年、実際に堀江前社長がゲームに登場する「ライブドアバージョン」も限定千個販売したが、既に完売している。
§11 ライブドア 買収先債務超過隠蔽 1月27日朝刊 1面
◆本体新株高値工作 計画発表直前に資金
ライブドアグループによる証券取引法違反事件で、ライブドアが二〇〇四年二月、人材派遣会社「トライン」の買収計画を発表した際、トラインが実際は債務超過だったため、グループ企業を使って資金支援し、資産超過に見せかけていたことが分かった。=関連GS面
ライブドア前社長堀江資文容疑者(三三)=同法違反容疑で逮捕=らは、この買収計画に合わせてライブドアの新株を大量発行し、売り抜けていた。東京地検特捜部は、買収先企業の経営をよく見せることで、自社の新株発行を増やす狙いがあづたとみt追及しているもようだ。
関係者によると、ライブドアは〇四年二月、トラインの買収計画を公表したが、この発表の三日前、トラインは増資を実施。資本金は千八百万円から五干四百万円、発行株数は三百六十株から九百六十株に増えた。トラインは〇一年から〇二年半ばまで休業状態で〇三年三月期決算は約二千三百万円の赤字を計上、約七百万円の債務超過に陥っていた。しかし、ライブドアの子会社「ライブドアファイナンス」が、トラインの旧株主に融資した資金で行われたとされる増資で、債務超過が解消された。
ライブボアは買収計画発表の際、「営業系スタッフの派遺がサービスに加わり、多様化する顧客の要望に応えていくことが可能になる」と、員収による相乗効果を強調。買収に絡み、約四万四千株の新株を発行した。
ライブドアは高騰した新株を実質支配していた投資ファンド「M&Aチ・ヤレンジャー1号投資事業組合」を通じて売却。売却益の一部がライブドア本体に還流していた。
■ 含み損膨張目視できず フジ会長『支援も選択肢』 1月27日朝刊 8面
堀江貴文容疑者(前社長)らが逮捕されたライブドアの経営再建について、フジテレビジョンの日枝久会長は二十六日、「支援も選択肢のひとつ」と述べ、大株主として何らかの”支援策”を検討していく考えを示した。強制捜査後、損害賠償訴訟や保有するライブドア株の放出をにじませていたフジの動向が、ライブドア再生の焦点だ。一転して支援を示唆するフジの事清を探った。(ライブドア問題取材班)
◆疑惑のデパート
「上場会社が(ライブドアを)買うことは不可能だ。資産査定ができない。これだけ疑惑のデパートになっているのに、調べないで買えるわけがない」。二十六日の決算発表の席上で、SBーホールディングスの北尾吉孝CEO(最高経営責任者)は、外資系証券など
が検討し始めたとされるライブドア買収について、ばっさりと切り捨てた。
ライブドアの決算に対する粉飾疑惑が持たれ、京地検の捜査が行われているなか、資産査定はできない。捜査の進展次第では新たな事件にも発展しかねない。現状で上場企業がライブドア買収を決めれば、「株主代表訴訟を起こされる」とのリスクは否定できない。
二十五日夜、「フジが買収も選択肢の一つとして抜本的な支援を検討」という報道が流れた。二十六日朝、東京都内で日枝会長は記者団の質問に、「(買収という)そんな大それたことは考えて
いない」と否定した上で、支援については「選択肢のひとつ。これから伸びると判断すれば、そういうこともあるかもしれない」と述べた。株式売却損の発生に伴う訴訟リスクヘの懸念から、構えを微妙に変えたようだ。
日枝会長の発言に、株式市場関係者からは、「もっと慎重になるべきではないか」との声も聞かれた。フジは昨年五月、ニッポン放送株争奪戦の和解に伴い、ライブドア株の12・75%を四百四十億円で取得し、17・25%の堀江容疑者に次ぐ大株主となった。日枝会長の発言はライブドアの株価こ影響を与えるためだ。
その一方で、「日枝会長ま株売却や損害賠償請求の可能性に言及していたため、バランスを取る発言だったのではないか」(大手証券)との指摘も聞かれた。
■株主訴訟を懸念
フジテレビは二十六日、取締役会を開き、保有するライブドア株に生じた巨額の含み損解消に向け、本格的な検討に入った。株売却で損失が確定すれば、株主代表訴訟の対象となる恐れがあり、業務提携の拡大や、株の買い増しなども視野に入れる。
ただ、二十六日の取引でも、ライブドア株は急落し、含み損は約二百八十八億円に膨らんだ。二〇〇五年度連結決算で計上した純利益(二百二十八億円)を上回る。
ライブドアオートのようにグループ離脱を検討する企業や、「退職したい」という社員も出始めており、内部の動揺は隠せない。ライブドアの企業価値が下がれば下がるほど、フジの損失は拡大する。一方、フジが株の継続保有を打ち出せば、ライブドアには大きな"後ろ盾"となり、再建が進めば、フジが保有する株の価値も上がることになる。
ニッポン放送買収合戦で、日枝会長らフジの経営陣を非難した堀江容疑者が経営から外れ、経営経験豊かな平松庚三氏が新体制の社長に就任したことも、心理的な摩擦の軽減につかっているとみられる。日枝会長は「株もあるし、現預金もあるだろう。再建しようという人が集ま川った」とライブドアの新体制を評価。平松社長ら新経営陣と近く会談し、経営方針を詳しく聞く予定だ。ライブドアの行く末は、フジの支持を得られるかどうかにかかっている。
◆監査法人を変更決算修正の方針 過去にさかのほり
ライブドアは二十六日、本体やグループ企業の粉飾決算が疑われているため、外部監査を行う監査法人を変更し、遇去数年にさかのぼり決算を修正する方針を明らかにした。二〇〇〇年四月の上場以来の決算が対象とみられる。平松庚三社長ら新経営陣は、信用回復には証券取引法違反容疑で逮捕された前社長、堀江貴文容疑者らの路線との決別を朋確にする必要があると判断、異例の対応を取ることにした。粉飾の実態がはっきりすれば、捜査の進展を侍たずに上場廃止となる可能性がある。
一方、ライブドアと資本提携しているフジテレビジョンはこの日、同社に経営データの詳細な開示を要求。フジは新たな開示情報をもとにライブドア再建に向け平松社長と協議に入る見通しで、こうしたフジの姿勢も背景にあるようだ。
ライブドアの監杏法人は港陽監査法人(横浜市)で、グループの主要各社の監査を担当。既に東京地検特捜部の家宅捜索を受けている。同法人の監査を受けているライブドアとは関係のない企業の間にも、変更する動きが広がっている。
◆”古巣”ソニーの出井氏 平松社長にガンバレ
ライブドアは二十六日、堀江貴文容疑者の後を受けて社長に就任した平松庚三氏に対し、ソニー最高顧問の出井伸之氏から「応援しています」とのメールがあったことを明らかにした。
平松氏は一九七三年かち八六年までソニーに在籍。出井氏のメールは「ソニーのDNA『チャレンジ精神』を生かしてぜひともがんばって」と激励したという。
二十五日には、読売新聞グループ本社会長の渡辺恒雄氏も「成功を祈っている」とのメツセージを寄せており、ライブドブ新体制への期待の高さをうかがわせた。
◆ライブドア24円安 終値
二十六日の東京株式市場で、東京証券取引所が臨時措置として午後二時から三時までの六十分に取引時間を限定したライブドア株は、売りが優勢となり、前日比二十四円安の百十三円で取引を終えた。株価ま一円刻みで頻繁に上下し、マネーゲームの様相を呈した。
終値は、東京地検がライブドアに強制捜査を開始した十六日終値(六百九十六円)に比べ五百八十円以上も下落。二十六日終値時点の株式時価総額(株価こ株数を乗じたもの)は約千百八十億円と、十六日の約七干三百億円から六干意円以上減少した。
■ 拘置所で堀江容疑者「株価見られない」「ネットは」 1月27日朝刊 28面
「株価は見られないのか」「インターネットはできないのか」。証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕され、東京・小菅の東京拘置所に移されたライブドア前社長の堀江貴文容疑者(三三)は、係官にこう尋ねたという。同社の株価ま二十六日終値で百十三円と、強制捜査前の六分の一以下に下落。だが拘置所では、ネットで株価を確かめることもテレビを見ることもできない。東京・六本木ヒルズの高級マンションから三畳半の独居房へ。環境が大きく変化しても、やはり株のことが気になるのだろうか−。=1面参照
「時価総額世界一を目指す当社といたしましては、現在の株価で満足することなく、さらに大きな飛躍を目指しております」。昨年十二月二十五日に開かれたライブドアの株主総会。堀江容疑者はこう胸を張った。
日本を代表するトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループどころか、マイクロソフト社などをも時価総額で上回ろうという、壮大な野心だったが、逮捕で夢は大きく遠のいた。
「この期に及んでは、『時価総額世界一』は、いったんあきらめていると思う。もっと現実的な問題としてとらえているのではないか」。拘置所でも株価の動向を気にする堀江容疑者の心理を、一橋大学大学院教授でM&A助言会社「GCA」代表取締役を兼務する佐山展生氏はこう分析する。
堀江容疑者の株に対する思い入れの強さは、IT企業の社長らが集まったヒルズ族の合コンの席でも際立っていた。「もっと株の勉強をしなきやいけないよ。誰だってお金持ちになれる」
都内に住む三十代のOLは、東京・銀座のレストランの個室で行われた合コンで自説を披露した彼の姿を覚えている。
合コンは昨年五月、ニツポン放送株争奪戦の和解でフジテレビ側から計千百十億円の払い込みを受けて間もない時期だ。
「宮内と一緒に”カツアゲ(恐喝)"したようなもんだよ」。堀江容疑者は、その場にはいなかったライブドアナンバー2の腹心、宮内亮治容疑者(三八)の名前を挙げ、上機嫌で話した。
昨年暮れに八千億円を突肢、ぐんぐん大きくなっていたライブドアの時価総額。しかし、二十六日終値で千百八十六億円弱まで減少した。
「ゼロになってもまた稼げばいい」。昨年三月に札幌市で開かれたセミナーで、こう語った堀江容疑者。野望は、まだ抱き続けているのか。
◆江副氏が朝日提訴「リクルート事件と比較は名誉棄損」
ライブドアグループの証券取引法違反事件を報じた記事で名誉を傷つけられたとして、情報提供会社「リクルート」創業者の江副浩正元会長が二十六日、朝日新聞社に二百万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
訴状によると、朝日新聞は二十六日朝刊社会面の連載「虚飾ホリエモン逮捕」で、江副氏が未公開株を政治家に渡して贈賄罪に問われたリクルート事件とライブドア事件を比較。「カネのにおい」などとうたった見出しで両事件を関連させ、「映画のリメーク版を見ているようだ」という元リクルート社員の談話などを載せた。
江副氏の話 記事は私が金のために手段を選ばない虚業を推し進めていた印象を読者に与える内容で残念だ。
訴状をよく読んで、対応を検討します。
§12 ライブドアが支援要請 1月28日朝刊 1面
■トップ会談フジ「損失最小限に」
ライブドアの平松庚三社長は二十七日、大株主であるフジテレビジ自ンの日枝久会長、村上光一社長らと初めて木ツプ会談し、巌しい環境に置かれた経営への支援を要講した。会談後に記者会見したフジの村上社長は、今後の協議について「(ライブドア株の大暴落で生じた)巨額の損失を最小限にする方向を考えざるを得ない」と述べ、支援の道を探りながらもまずはフジ側の利益を考える姿勢を見せた。関連E面
両社の会談はライブドアの新経営陣がフジ本社を訪問して三十分ほど行われた。
村上社長によると、まずライブドア側が堀江貫文前社長ら四人が逮捕された証券取引法違反容疑事件について謝罪し、前社長の復帰はないと明言した。
ライブドアは今後の支援要請をしたものの、具体的な内容は示さなかった。フジ側はライブドアに正確な財務内容の提出を求め、今後経営内容の詳細な調査に乗り出すことを伝えた。
ライブドアは昨年二月、-資本的にはフジを傘下に持つニッポン放送の株を大量取得し、フジサンケイグループの経営支配を図った。
フジは強く反発し、ニッポン放送株の争奪戦となったが、和解によりフジが四百四十億円を出資し、ライブドアの発行済み株式の12・75%を保有。17%超を保有する堀江容疑者に次いで第二位の大株主になっている。
◆ライブドア株上昇 終値139円
東証マサーズ上場で監理ポストのライブドフ株は二十七日、前日比二十六円高の百二十九円で取引を終えた。
同社株が前日比で上昇したのは今月十三日以来。二十七日は九円安の百四円で寄り付いた後にじりじり上昇した。強制捜査に伴うろうばい売りが一段落し、個人投資家らの利ざや稼ぎ狙いの買いがひとまず優勢となったようだ。
出来高は約一億六百万株。東証が取引時間の短縮など規制を強めているため、二十五日の約四億二千万株に比べれば大きく減少。システムヘの影饗はなかった。
一方、同じくマサーズの監理ポストで通常取引のライブドアマほケティング株は、値幅制限の下限(ストップ安)にあたる前日比三百円安の千二百五十円で比例配分された。
■ライブドア支援信用失う恐れも フジ難しいかじ取り 1月28日朝刊 6面
フジの村上光一社長は同日夕の定例会見で、平松新社長の印象について「非鴬に真撃(しんし)に話してくれ、まじめな態度でおわびしてくれた」と評価。その上で、厳しい経営環境におかれたライブドアヘの協力撃請を受けたという。
この日、ライブドア側から支援要請の具体的な内容は示されなかった。
村上社長は対応について「放送メディアとして、『お金、お金』と言っていいのか。ライブドア株で損をした多くの個人株主もいる」と検討すべき要素が多いこどを認めながらも「企業として一うちの株主の損失を少なくする方向を考えざるを得ない」と自社の利益を最優先する方針を示した。 今後のフジの対応としては、重大事項を隠したまま出資契約を結んで損失を受けさせち
れたことに対する損害賠償請求や出資した12・75%の株式売却など、厳しい内容も考えられる。
強制捜査直後、日枝会長からは厳しい姿勢が読み取れた。しかし、平松社長の就任後は「新体制の経営姿勢を聞き、捜査の行方などをみながら対応を決めたい」と態度を軟化させ、支援の可能性に
も言及。さまざまな可能性を検討していることを強調した。
例として挙げた支援内容は、さらなる提携や出資拡大のほか、「現段階では考えていない」とdながらも買収も選択肢に入っていると言及。逆に「ライブドアが支援を受けたい企業があれば、そこに株を亮却するのも支援だ」と述べた。
ライブドアとしては、早期にフジの支援を取り付けて信用回復に努めたい考えだが、東京地検に資料を押収されており、正確な資産査定ができない状態。また、粉飾決算疑惑など事件が拡大する可能性もある。早急に支援を打ち出した後、新たな問題が露呈すれば「フジの信用が傷つくことになる」(証券関係者)。フジは当面、結論を出しにくい状況が続く。
◆投資事業組合
ライブドアグループによる証券取引法違反事件では、出版社の買収で利用した投資事業組合というファンドの問題点が浮き彫りになっている。 同様の仕組みを利用する企業は多いが、以前から投資家にとって実態が分かりにくいとの指摘もあった。事件をきっかけに注目される投資事業組合の仕組みを整理した。(市川干晴)
Q 投資事業組合とはどのような組織なのか。
A 投資家から資金を集めて運用し、利益を投資家に還元する組織のことだ。ペンチヤー企業投資などで活用されることが多く、いわゆるファンドの一つ。実は投資事業組合という言葉に法律上に明確な位置づけはなく、民法上の任意組合などがこれに相当する。登記や情報開示義務がないのが特徴で、手早く設立できるメリツトがある。
Ω ライブドアの組合はどんな特徴があるの。
A 問題となっているライブドアの「VLMA2号投資事業組合」は民法で認めろれた「任意組合」の一種。出資者同士が事業契約を結べば自由に設立が可能で、投資をするサークルみたいなものだ。匿名性が高く、ライブドアからの資金の流れが分からなかったんだ。
Q 事件では、何が問題視されているのか。
A 証券取引法や会計基準には、投資事業組合を連結対象に含めるかどうか明確な基準がない。さらに組合は具体的な業務内容を公にする必要はなく取引内容を把握するのが困難だ。ライブドア..はこうしたルールの「すき間」を利用。実質的に支配していた組合を使って出版社を買収していたにもかかわらず、別の子会社がその出版社を買収すると虚偽の情報を公表した疑いが持たれている。
Q 与野党に規制強化を求める声がある。
A 金融庁は今国会に証取法を抜本的に改正した「金融商品取引法(投資サービス法)」案を提出するが、これに投資事業組合などへの規制を盛り込む方針だ。開示については「実質支配にあたる基準を具体的に示すなど、早急に検討したい」とルールを改正する方向だ。
■ライブドア事件 コンサル会社深く関与 1月28日夕刊1面
◆企業買収の会計事務担当 利益還流で捜索も
ライブドアグループの証券取引法違反事件で、株式交換による本体の赤字会社買収や前社長堀江貴文容疑者(三三)=同法違反容疑で逮捕=らの逮捕容疑となった関連会社の出版社買収などの会計事務に、ライブドアの決算監査を以前担当した公認会計士が代表取締役のコンサルタント会社が深く関与していたことが関係者の誌で分かった。=関連L面 買収後の総額数十億円に上る株売却益還流にもかかわったとされ、東京地検特捜部は二十八日までに、コンサルタント会社を家宅捜索。堀江容疑者や前取締役筥内亮治容
疑者(三八)=同=らとの共謀の有無などを捜査している。
捜索を受けたのは、横浜市のゼネラル・コンサルティング・ファーム。関係者や法人登記簿などによると、ゼネラル社はライブドアグループが株式交換で実行した企業買収計十八件のうち、二〇〇四年二月に発表した人材派遣会社のトラインなどの買収で、ライブドアの前取締役岡本文人容疑者(三八)=同=らと頻繁に連絡を取り合い、会計事務を担当。トラインは債務超過で株式交換に必要な資産査定もできない状態だったが、ライブドア側が増資した上で買収。交換用に発行されたライブドアの新味の売却益は同社側に還流したとされる。
また関連会社の出版社買収では、株交換比率を算出するため、ライブドアの子会社社員とともに出版社の資産査定などに当たった。この査定で出版社の企業価値が実際の数倍に評価されたことが既に判明している。
代表取締役の会計士はライブドアの決算や会計の監査を担当してきた港陽監査法人(横浜市)の元代表社員で、同社の〇三年九月期決算に「適正」との意見を付けた。
ゼネラル社は宮内容疑者も一時代表取締役を務め、ライブドア監査役の弁護士はゼネラル社に併設されている弁護士法人に所属している。
◆子会社出版社の買収「人間関係ない」ウソ 発表前に役員送る1月28日夕刊 13面
ライブドアグループによる証券取引法違反事件で、子会社「フイブドアマーケティング」が出版社「マネーライフ社」の買収計画を発表した際、両社の間に「資本や人的関係はない」と説明していたが、実際はライブドア前財務担当取締役宮内亮治容疑者(三八)=同法違反容疑で逮捕=らが、マネー社の取締役に就任していたことが分かった。東京地検特捜部は、宮内容疑者らが、両社間の人的な関係を伏せたままの買収発表どその後の株式分割により、マーケティング社の株価をつり上げようとしたとみて追及しているもようだ。=1面参照
マネー社買収をめぐっては、ライブドア側が買収資金とは射に三千万円を出資してマネー社の債務務超過状態を解消、買収による相乗効果が見込めるかのように、虚偽の発表をしたことが明らかになっている。
調べでは、ライブドアが実質支配する投資ファンドは二〇〇四年六月、マネー社の旧株主から約四千二百万円で同社株を取傳した。法人登記によると、同時期、ライブドアの取締役だった宮内容疑者と中村長也容疑者(三八)1-ライブドアファイナンス前社長=の二人が、それぞれマネー社の取締役に就任。ライブドアの監査役もマネー社の監査役として就任した。
ところが、マーケティング社は同年十月、マネー社買収計画を発表した際、両社の間に「資本関係および人的関係の事項はない。(買収により)大きな事業シナジー(相乗効果)が見込める」などと説明していた。
§13 ライブドア子会社化 インサイダー取引の疑い 1月29日朝刊 1面
◆発表直前のジャック株 売買高13倍に
ライブドアがジャック・ホールディングス(現ライブドアオート)の子会社化を発表する直前の昨年八月二十五日の東京証券取引所二部で、ジャック社の株の売買高が前日の約十三倍と異常に膨らみ、株価も急騰していたことが二十八日、分かった。東証は「取引の経緯に不自然な点がある」として証券取引等監視委員会に報告。東京地検特捜部と合同でライブドア事件の調査を進めている証券監視委は、インサイダー取引の疑いが濃いとして、本件の証券取引法違反(風説の流布・偽計)と並行して、今回抑収した資料などから取引の実態解明を急いでいる。=関連34面
ライブドアは昨年八月二十五日午後六時すぎ、中古車販買のジャック社の第三者割当増資引き受けと発行済み株式の取得で同社を子会社化すると発表した。
発表は東証の取引が終了した後だったが、この日の売買高は約二干四百三十万株と、前日(百八十万株)の十三倍超。売買代金も十五倍超の大商い。株価も前日の百二十五円から百五十六円へ二十一円も急騰した。
東証は、この直後から証券会社の聞き取り調査などを実施。この結果、ライブドアによる子会社化が二十五日の市場取引終了直後に発表されるなどの内部情報を知り得る人物が大量の買い注文を出した疑いがあるとして、証券監視委に報告した。
監視委は東証の資料などからインサイダー取引の疑いが濃いとみて調査を進める一方、東京地検と合同で実施した家宅捜索で押収したライブドアの新たな資料を基に事件との関連を調べている。
当時、ライブドアは社長の堀江貴文容疑者が八月十九日に衆院選出馬を決め、選挙運動の準備を進めていた。
■ライブドア本体も告発 証取法違反 上層部の関与強く 1月29日朝刊 34面
ライブドア関連会社の企業買収などをめぐる証券取引法違反事件で、証券取引等監視委員会は二十八日、同法違反(偽計取引、風説の流布)の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたライブドアの前社長堀江貴期文容疑者(三三)ら四人と関連会社に加え、ライブドア本体も告発する方針を固めた。
ライブドアが企業買収にかかわり、堀江容疑者ら上層部が深く関与しているなどとして、同法の両罰視定適用が必要と判断した。
調べによると、堀江容疑者ら四人は共謀し、二〇〇四年十月に発表した関連会社(当時子会社)のバリュークリックジャパン(現ライブドアマーケティング)による出版社買収で、出版社の価値を不正に高く算定したり、既にライブドア支配下の投資事業組合が出版社を買収していたのに、グループ外から買収するように装ったりした疑い。
同年十一月、売上高などを水増ししたバリュー社の決算短信を発表した疑いも持たれている。
特捜部は二十三日に堀江容疑者らを逮捕した。ライブドア本体に粉飾決算の疑いも浮上し、捜査を進めている。監視委は所属する公認会計士や証券会社出身者ら約五十人を動員。押収資料や有価証券報告書の分析、株価変動と資金の流れの解明などを続けている。